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ONE MAN SHOW TOUR 2020-2021 「SOUL TRAVELER」

──ワンマンショーツアー2021『SOUL TRAVELER』のリハーサルが昨日(3/25)からスタート。2年ぶりのツアーに向けたリハの初日を終えた気分は、いかがですか?

もうね、初日から結構、飛ばして歌ってて(笑)。やっぱり、単純に楽しいですよね、音楽って! と言うか、楽しくなかったら長く続けてこれなかったと思うんですよ。

──その思いを再確認したと。

はい。まず、何と言ったってバンドが素晴らしい! 初日から演奏陣がかなりのハイクオリティで──「そんなにスタートダッシュで無理しなくても…」とは思ったんですが、ついつい僕も気分が乗ってしまって、ガンガン歌って踊りました!!

──リハにもかかわらず(笑)。まあ、バンドメンバーとも長い付き合いですしね。もはや阿吽の呼吸の関係でしょうから。

そうですね。バンマス吉村龍太・ドラム阿部薫・ベース宗秀治、この3人と出会ったのは2001年──もう20年前ですよ! 2001年の『禁猟区〜サンクチュアリ~』ツアーから。他のメンバーも皆、付き合いは長いし…だから、もはやファミリー感覚で、久しぶりに会ってもよそよそしさがないと言うか、当たり前のように“音で会話する”と。…何か、ミュージシャンっぽいセリフになっちゃうんですけども(笑)。

──(笑)いやぁ、ミッチーはれっきとしたミュージシャンですから。

あのね、(自分が着ているTシャツを指さしながら)やっぱりこういうのが好きなんです!

──プリンスのTシャツね(笑)。

そう、プリンス&ザ・レボリューション! ああいうファミリーみたいな音楽集団が好きなんですよねぇ(笑)。

──過去に何度もインタビューしてきて感じるんですが、ミッチーって、ソロアーティストでありながら、実はバンドサウンドが大好きなミュージシャンだっていう。

ホントに! この間、自分でもそう思ったんですよ。25周年記念のベストアルバムの──この後、じっくり話しますけど──マスタリング作業が終わって、完成した音を聴いたら、ソロアーティストなのにオケ(演奏)が相当デカい(笑)。これ、及川光博の歌をちょっと聴いてみようと思って作品に接した方からしたら、いわゆるソロシンガーのアルバムには聴こえないんじゃないかな、と思いました(笑)。

──確かに、例えば『今夜、桃色クラブで。』とかは、曲が始まって一番大きく聴こえてくるのはベースの音だし(笑)。

ですよね~!(笑) あれはまさにそうで、確かに良い音なんだけど、歌に対して音がかなりデカいわけ。ただ、それはね、僕の“ベース好き”が過ぎると言うか…、ある意味、僕のプロデューサーとしてのこの25年がベースとの闘い、みたいなところもあって。「なんで大きくしちゃうのかな?」って、自分でもいつも苦笑い(笑)。

──きっと、リズムってものが好きなんでしょうね?

そう、好きなんですよ。だからドラムとベースの音がデカくなるし…、やっぱり、血が騒ぐんでしょうね。リズム、ビート、グルーブといった“肉感的な音”に──そして、そこで踊りたくなる“ダンス欲”みたいなものは、幼いころから50代の今に至るまで、僕の中でなくなることがないから。

──むしろ、その欲求がより高まっている感じもありますか?

まあ、今は、それこそ20代・30代のころよりも体が言うことを聞いてくれませんから(苦笑)、3時間踊り続けることはできなくなってきているんです。けれども、そもそも僕は、振り付けをしっかり覚えて大人数で踊るっていうタイプではないんですよ。要は、マイケル・ジャクソンよりもプリンス寄りで。エイトなり16なりのビートを感じて、神経が反応することが楽しいんでしょうね。

──そんなミッチーがゆえに、冒頭の話じゃないけど、生音のグルーブに思いっきり身を委ねられる2年ぶりのツアーを前にして、リハーサルから思いっきり気分が盛り上がるのも当然かなと。

うん。あと、単純に、みんなに会いたいしね。集まって飲んだり騒いだりもできなかったから、やっぱりこういう場があること自体うれしいし…、たとえコンサートの動員が(制限により最大キャパの)50%で、お客様が全員マスクという状態だったとしても、“音楽の喜び”っていうのは消えないから! 実際、年末に『ゆくミッチーくるミッチー』というライブをやって(※2020年12月30日・31日に開催)、そう思ったんですよ。正直、あのときは、デビューしてから初めてってくらい緊張してたんです。何か、震災の後のツアー初日、みたいな感覚で…。

──それは、久しぶりのライブだったから?

もあるし、何より、お客様にキャーキャー言っていただけない、「声を出してはダメ」っていう空間で、どれほど僕のファンクやポップミュージックが人を喜ばせ、楽しませることができるのかっていうのが不安だった。それと、当然ですが、その当時、緊急事態宣言は出ていなかったけれども、万が一、会場内でクラスターでも発生したら、それこそ大ニュースになりますし…、今のご時世、相当叩かれますから。なので、感染症対策も万全の態勢をとりつつ、慎重にやりましたね。

──そんな状況下でライブをやって、ベイベーたち(オーディエンス)からの手ごたえが確実にあったと?

そうですね。まあ、手ごたえみたいな部分で言えば、お得意のトークでも笑い声が聞こえてこない…どれだけ楽しいおしゃべりをしてもね、すべってる感があるんです(笑)。でもさ、みんな優しい子たちだから、そこで体を揺らしたり、拍手をしたり、あと、おもしろいという感情をタンバリンで表現してくれたりして…「いやぁ、僕らって仲がいいなぁ!」と思いましたよ、本当に。愛しかったし…、安らぎさえ感じたな、ステージ上で。

ONE MAN SHOW TOUR 2019 「PURPLE DIAMOND」

──素晴らしいことです。

そう、本当に素晴らしくて。で、あの経験がある分、今回の春からのツアーは、ちょっと心にゆとりをもって向き合えるかな、と思います。

──その今年のツアーのタイトルがまた、“SOUL TRAVELER”という実にミッチーらしい言葉が付けられていますね?

案外、僕、SOULって言葉を使うのに、今までは抵抗があったんですよ。ただ…いよいよ自分も、歌なり表現が肥えてきたかなと。自分を奮い立たせる意味でも「SOULという言葉を使っちゃおう!」と思いましたね。

──なるほど。で、このインタビューが世に出るころにはツアーも絶賛開催中なので、ネタバラシにならない程度で語ってもらうと、今回はどんなツアーにしようと臨むつもりなんですか?

一言で言うなら、「直球」ですかね。バラエティ豊かな、幅広いジャンルをバランスよく楽しんでいただくというよりも、ファンクに特化したステージにしてみたいと。それは、前回、2019年の『PURPLE DIAMOND』ツアーでそう思いました。それくらい、あのツアーで手ごたえがあったんですよね。ニューアルバムの無いツアーで、過去曲はもちろん、近年に発表した曲も含めたベスト的なセットリストで全国を廻ってみたんですが、やはり新旧のベイベーたち、そして男子諸君が大いに盛り上がってくれて──。それは、自分で言うのもなんですけど、ひたむきに続けてきた歌謡ファンクというスタイルが喜ばれている実感があったんです。…そう、モロにファンクではなく、あくまでも“歌謡ファンク”、なんですけども。結局、ご存じの通り、僕はブラックミュージックが大好きでありながら、筒美京平さん、松本隆さんを筆頭にした(昭和の歌謡界を支えた)素晴らしいクリエイターたちにも強く影響を受けているわけで──

──そこを合体して表現するのがミッチー流の歌謡ファンクだと。

そうそう。それを十分ご理解いただいている人たちが集まっている状況でステージの幕が開くわけですから、もう、迷わずその道を行こうと。と言うか、「もはや迷う必要がない!」とも思うしね。やっぱり、この年にもなると、需要がなくなった瞬間に僕は音楽をやめるんだっていう──(山口)百恵ちゃんじゃないけど、マイクを置くんだという覚悟はずっとあるので、そのニーズがあるうちは、生きたいように生きて、作品を作り続けたいんですよね。そういう意味では、(ミュージシャンとして)ここまでやってこれたのは、とてもありがたいことだし…、「お芝居ができて、本当に良かったな」とも、つくづく思う。芸は身を助けるじゃないけど、僕、俳優活動がなければ…こんなにヒット曲がないのに(苦笑)、毎年毎年──まあ、去年は置いておいて──毎年、全国ツアーを展開できたことは奇跡に近いと思うんだよな。